変形性股関節症・膝関節症は手術前に姿勢改善

変形性股関節症・膝関節症は手術前に姿勢改善

変形性股関節症や変形性膝関節症と診断され、医師から手術(オペ)を勧められる方は少なくありません。
まず大前提として、私は手術を否定しません。
必要なケースではオペは有効な選択肢です。
ただし現場では、関節そのものだけでなく「姿勢不良」や「動き方のクセ」が痛みを強めているケースも多く見受けられます。
メスを入れる前に、運動で姿勢と動作を整え、関節が正しく動く状態を作ることも重要です。

オペ前に確認したい視点

手術は悪ではない

変形性股関節症や変形性膝関節症で「オペを勧められた=もう手術しかない」と感じてしまう方は多いです。
しかし、手術は決して悪い選択ではなく、痛みや機能低下が強い場合には生活の質(QOL)を大きく改善できることもあります。
実際に、進行した変形で関節の構造そのものが崩れている場合、保存療法だけで改善を狙うのは難しいこともあります。

一方で重要なのは「今の痛みの原因が、どこまで関節の変形由来で、どこまで姿勢や動作の問題で増幅しているのか」を整理することです。
関節は単体で働くのではなく、骨盤・背骨・足部まで含めた連動で動いています。
つまり、同じ診断名でも身体の使い方次第で痛みの出方が変わります。
オペを否定するのではなく、必要性を冷静に判断する材料として、姿勢や動作評価は非常に価値があります。


痛み=変形だけではない

変形性股関節症や変形性膝関節症は、画像所見(レントゲンやMRI)で「変形がある」と言われやすい疾患です。
ただし、画像で変形が見えても、痛みの強さと一致しないこともあります。
これは痛みが「構造」だけでなく、「関節にかかるストレスのかかり方」によって左右されるからです。

例えば姿勢不良で骨盤が前傾・後傾しすぎると、股関節では大腿骨頭の位置(大腿骨のポジション)が偏りやすくなります。
その結果、関節の一部に圧が集中し、スムーズな動きができずに痛みにつながることがあります。
膝も同様で、股関節の可動性や筋出力が落ちると、膝が代償して負担を受けやすくなります。

つまり「関節が悪い」だけで片付けず、身体全体のアライメント(配列)と運動連鎖を整えることが、痛みを減らす第一歩になるケースは少なくありません。

まず整えてから鍛える

アクティブモーションでは、いきなり筋トレで追い込むのではなく「整えてから鍛える」を基本にしています。
変形性股関節症や変形性膝関節症のように関節痛がある場合、筋力不足だけを原因にすると、むしろ痛みを増やしてしまうことがあります。
なぜなら、姿勢不良や動作不良のまま筋トレをすると、関節にかかる負担の方向が変わらず、悪いフォームを強化してしまう可能性があるからです。

まず行うべきは、呼吸・姿勢・骨盤の安定性を整え、股関節が正しい位置で動ける土台を作ることです。
例えば胸郭の硬さや口呼吸の癖があると、体幹が安定しづらく、股関節の伸展(脚を後ろに引く動き)が出にくくなります。
その結果、膝や腰が代償して痛みが出るケースもあります。

痛みがある人ほど「正しい動きを練習する」ことが重要です。
関節の負担を減らす動きが身につけば、運動で改善する余地は十分にあります。

股関節が鍵になる理由

骨盤と大腿骨の位置

股関節の痛みは、単に股関節の軟骨が減ったから起こる…という単純な話ではないことがあります。
特に姿勢不良がある場合、骨盤に対して大腿骨がどの位置で動いているかが重要になります。
骨盤が過度に前傾していると股関節前方が詰まりやすくなり、後傾が強いと股関節後方にストレスがかかりやすくなるなど、負担が偏りやすくなります。

本来、股関節は「曲げる・伸ばす・回す」が滑らかに行える関節ですが、骨盤の傾きや体幹の安定性が崩れると、大腿骨頭の動きが偏ってしまい、痛みが出やすい動作パターンになります。
特に歩行や階段動作では、股関節の外転筋群(中殿筋など)や深層外旋筋が働かないと、膝が内側に入る(ニーイン)ようなフォームになり、股関節・膝関節の両方に負担がかかります。

関節を守るためには、局所の筋トレだけでなく、骨盤と大腿骨の「位置関係」を整えながら動作を再学習することが欠かせません。


伸展不足が膝を壊す

変形性膝関節症の方を見ていると、膝そのものよりも「股関節がうまく伸びていない」ケースが非常に多いです。
股関節伸展とは、立った状態で脚を後ろに引く動きで、歩行の推進力を作る重要な要素です。
この伸展が出ないと、本来股関節が担当すべき推進力を、膝や足首が代償してしまいます。

例えば歩く時に股関節が伸びず、骨盤が前に突っ込むような歩き方になると、膝は常に曲がったままの状態になりやすく、大腿四頭筋が過剰に働いて膝蓋大腿関節(膝のお皿周り)にも負担がかかります。
また、足首の背屈が硬い人は、しゃがむ動作で膝が前に出すぎてしまい、さらに膝関節への圧縮ストレスが増えます。

つまり膝が痛いから膝だけをケアするのではなく、「股関節が伸びる」「足首が曲がる」「体幹が安定する」という連動を取り戻すことが、膝の痛み軽減に直結することがあります。

関節は連動している

股関節・膝関節・足関節は、それぞれ別のパーツではなく、運動連鎖としてつながっています。
変形性股関節症や変形性膝関節症の痛みが長引く背景には、この連鎖が崩れていることが多いです。
例えば股関節の可動域が落ちると、膝が過剰に回旋したり、足部が過剰回内(扁平足方向)になったりして、負担が別の場所へ移動します。

この状態で筋トレを頑張っても、痛みが改善しないどころか、かえって悪化することもあります。
なぜなら、間違った動きのパターンで筋力がつくと、関節へのストレスが固定化されるからです。
だからこそ「動きの質」を先に整える必要があります。

具体的には、呼吸で腹圧を作り体幹を安定させる→骨盤の位置を整える→股関節が滑らかに動く→膝や足首が自然に働く、という順番が理想です。
これができると、関節の痛みが減るだけでなく、歩く・立つ・階段を上るといった日常動作が楽になります。
関節の悩みほど、局所ではなく全体の連動を見直す価値があります。

運動でできる改善戦略

呼吸と体幹の安定

変形性股関節症や変形性膝関節症の改善を考える時、意外に見落とされがちなのが「呼吸」です。
呼吸は酸素を取り入れるだけでなく、体幹の安定性(インナーユニット)に深く関わります。
横隔膜・腹横筋・骨盤底筋・多裂筋が協調して働くことで腹圧が高まり、腰椎や骨盤が安定し、股関節が動きやすくなります。

反対に、口呼吸や浅い胸式呼吸が続くと、肋骨が開きやすく体幹が不安定になり、骨盤が前傾しやすくなることがあります。
その結果、股関節前方が詰まったり、膝が内側に入りやすくなったりして、痛みを助長する動きになりやすいです。

まずは仰向けで鼻呼吸を意識し、息を吐く時に肋骨が締まり、下腹部が軽く働く感覚を作ることから始めます。
体幹が安定すると、股関節の可動域トレーニングや筋力トレーニングの効果も上がり、関節への負担を減らしながら強くなれます。


股関節の動作を再学習

痛みがある方に必要なのは「とにかく鍛える」よりも「正しい股関節の動きを覚える」ことです。
特に股関節伸展が苦手な人は多く、腰を反って脚を後ろに引こうとする代償が起きがちです。
この代償は腰痛や前ももの張りにつながり、結果的に股関節の負担を減らせません。

股関節を正しく使うためには、骨盤が安定した状態で大腿骨がスムーズに動くことが必要です。
例えばヒップヒンジ動作(股関節を折りたたむ動き)を練習し、背骨を固めすぎずに股関節主導で動けるようにします。
ここで重要なのは、股関節の屈曲・伸展だけでなく、内外旋のコントロールも含めた「関節のセンタリング」です。

この再学習が進むと、歩行や階段で膝に頼りすぎる動きが減り、変形性膝関節症の痛みも軽減しやすくなります。
関節を守る運動とは、筋肉を大きくすることより「負担のかかり方を変える」ことだと考えると分かりやすいです。

手術が必要な目安

運動で改善を目指すことは大切ですが、すべての人が保存療法だけで解決できるわけではありません。
変形性股関節症や変形性膝関節症では、変形が進行し関節裂隙が著しく狭くなっている場合や、痛みで日常生活が大きく制限されている場合、オペが有効な選択肢になることがあります。
ここで大切なのは「手術を避けること」ではなく、「必要なタイミングで適切な判断をすること」です。

目安としては、夜間痛が強く眠れない、歩行距離が極端に短くなる、痛み止めが効かない、関節の可動域制限が強く生活動作が困難、といった状況では医師の評価が優先されます。
また、運動を頑張っても痛みが増悪し続ける場合は、動作の選択や負荷設定が合っていない可能性もあるため、専門家のチェックが必要です。

手術をする場合でも、術前に呼吸・姿勢・筋機能を整えておくと、術後の回復がスムーズになることがあります。
だからこそ「手術か運動か」の二択ではなく、両方を正しく使い分ける視点が重要です。

まとめ

変形性股関節症・変形性膝関節症でオペを勧められることは珍しくありません。
私は手術を否定しませんし、必要な時は手術が最善になることもあります。

ただし、関節の痛みは変形だけでなく、姿勢不良や股関節の動作不良によって増幅しているケースも多いです。
骨盤と大腿骨の位置関係、股関節伸展の不足、呼吸による体幹の不安定などを整えることで、痛みが軽くなる可能性があります。

まずは「整えてから鍛える」。
関節が正しく動く身体を作ることが、手術を考える前にできる大切な選択肢です。

サービス紹介

浅草のパーソナルジムActive Motion[アクティブモーション]はPRI理論に基づき、姿勢改善トレーニングやストレッチで不調を根本改善。反射神経・ビジョントレーニングも導入し、一生モノの動ける身体作りをサポートします。

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ただ硬いところを伸ばして柔らかくするだけではなく、その先のコンディショニングに繋げていくことができるストレッチです。
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このコラムを書いた人

パーソナルトレーニングジム アクティブモーション代表トレーナー杉田賢一

資格・経歴

  • NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定)
  • パーソナルフィットネストレーナー NESTA-PFT
  • ゴルフコンディショニングスペシャリスト NESTA-GCS
  • スリープサイエンススペシャリスト NESTA-SSS
  • PRI(Postural Restoration Institute®)
  • PRIマイオキネマティックリストレーション修了
  • (腰椎骨盤大腿部の病態力学に対する統合的アプローチ)
  • PRIぺルビスリストレーション修了
  • (骨盤仙骨部の病態力学に対する統合的アプローチ)
  • ​​​​PRIポスチュラルリストレーション修了
  • (胸腹部の病態力学に対する統合的アプローチ)
  • PRIインピンジメント&インスタビリティ​
  • (レファレンスセンターを介した統合的アプローチ)
  • TRIGGER POINT VISION TRAINING LEVEL:1

メッセージ

トレーナーの杉田です。
呼吸・姿勢・身体の使い方を大切にしながら、個々の目的に合わせたパーソナルトレーニングを行っています。
初めての方でも安心して取り組める、落ち着いた指導を心がけています。

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